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目覚め
その夜、消灯時間を迎えた後も、わたしはベッドの中で起きていた。
カーテンの隙間から見える月は、満月。
やがて見回りの看護婦が来て、去った後、わたしはこっそりベッドを出て、あの池へ向かった。
「はぁっ、はぁ…!」
緊張した。心臓が高鳴る。
こっそり抜け出して、周囲に見つからないように気を配った。
…そう言えば前にもこんなことがあった気がする。
あの時は追いかけられていた。
…何に?
とても恐ろしいモノ達に。
でもその正体は分からない…。
やがて池が見えてきた。
けれど先客がいた。
あの医者や看護婦達だった。
思わず近くの木に隠れる。
見つかってはいろいろとマズイ。
彼等はあのイメージのように、無表情だった。
そして何か大きな袋を持ってきていた。
その袋の口を開け、手袋をして、中身を取り出す。
月の光を受けて、その中身が見えた。
それは…人の腕だった。
「っ!?」
慌てて自分の口を手で塞ぎ、身を小さくした。
心臓が耳障りなぐらい、高鳴る。
医者や看護婦達は袋の中に手を入れ、次々と人の部位を取り出しては、池の中へ投げ捨てていく。
池に入った部位は、水に触れるとすぐに溶けて消えた。
そして色も匂いも変えず、池は次々と人の部位を飲み込んでいく。
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