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「ヒドイ姉さんだな。この世にたった2人っきりの双子だって言うのに」
「そんな命令を出させたあなたの方が、ボクは悪いと思いますけどね!」
カルマは地を強く蹴り、マノンに向かって鎌を振り上げた!
しかし!
「なっ…!」
マノンは闇となり、鎌は虚しく闇を切り裂いただけ。
―まだ同属とやり合うには、こちらの分が悪い。引かせてもらうよ―
「マノンッ!」
カルマは闇に向かって叫ぶも、そこにマノンの気配は無かった。
「…まったく。流石はマカの双子の弟ですね。厄介な存在だ」
カルマは深くため息をつくと、クイナの元へ向かった。
「クイナさん、大丈夫ですか?」
「力をいくらか吸い取られたけど、何とか…。でもカウが…!」
カウはその姿を薄くさせ、すでに犬の形も保っていられない。
「コレは少々危ないですね。クイナさん、カウを影に戻してください」
「分かった」
クイナは頷き、カウを自分の影に戻した。
「うっ…!」
しかしすぐにクイナの表情が歪み、その体が傾いた。
「クイナさん!」
慌ててクイナの体を支えたカルマは、彼女の様子に気付いた。
犬神のダメージを、その身に受けたのだ。
「…今はこうするしかないんです」
犬神はそのままでは存在していられない。
寄生する人間がいれば、何とか生きていられる。
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