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覚醒
わたしが目覚めた時、そこは病室だった。
笑顔の若い看護婦がいて、わたしは病院の敷地内の池の近くで倒れていたことを教えてくれた。
だけどわたしは…自分が何者なのか、記憶を失っていた。
冬なのに裸で、身分を証明するものは何一つ周りに落ちていなかったらしい。
無傷なのが、唯一の救いだろう。
そこの病院の計らいで、わたしは記憶を取り戻すまで、ここで厄介になることになった。
しかし幾日過ぎても、わたしは誰だか思い出せない。
だがある程度の知識はあって、障害者というワケではなかった。
記憶の方はサッパリだが、専門的知識を持っていたので、もしかしたら何か専門職に就いていたのかもしれない。
しかしこの病院はちょっと不気味だ。
どこか覇気がなく、みな、生気も無い。
入院患者は赤ん坊から、中年まで。お年寄りと言える人は全くいないのがおかしい。
普通、病院ならお年寄りが多くて当たり前なのに…。
そしてここにはテレビもラジオもない。
病室はベッドとクローゼットがあるだけで、他は何も無い。
図書室があるのは良いとして、何故患者用の食堂がある?
病院と言うよりは、何か…ホテルとか、会社の寮みたいだ。
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