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それでも上っていくと、頂上に人がいた。
すでに細い土道しかない頂上に登る人間なんて、滅多にいないはずなんだが…。
けれどそこは桜の木が密集していて、とても幻想的な雰囲気が広がっていた。
そこに、彼女がいた。
長く美しい黒髪を風に揺らして、笑顔でその場に立っていた。
周囲の木より、一際大きい桜の木の下に立ち、舞い散る桜の花吹雪に身を委ねていた。
同じ高校の制服に身を包みながらも、その姿はまるで桜の精のようだった。
きっと、着物とか着たら、そう思っただろう。
「あっあの…」
思わず声をかけた時、彼女の笑顔が固まった。
「えっ?」
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