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刑事の視線の先にはラップでぐるぐる巻にされた女性の顔が転がっていた。
ラップ越しでも分かる女性の表情は恐怖で双眸が見開かれている。
発見した刑事が口元を抑え、駆け足で部屋から出ていく。
現場なれしている歳を取った刑事がその姿を呆れたように見送り、開け広げられた冷凍庫の中を捜索する。
「…こりゃあ…、被害者は一人や二人じゃねぇな…。デカいヤマになりそうだ。」
冷凍庫の中には足や手が二本以上、それに体のあらゆる部位がラップに包まれ冷凍保存されていた。
そんな様子を無表情で眺める久美子と、先程床に転がったラップに包まれた女性の頭を見つめる大輔。
大輔の視線に小柄な刑事が気づき、女性の頭へと視線を向けながら大輔に問いかける。
「…お知り合いですか?」
大輔の感情を刺激しないように、優しく小さな声で問いかける声に大輔は小さく頷いた。
「…彼女は…私の部下で…。」
「貴方の部下で、貴方の浮気相手よ!!」
無表情で今まで静観していた久美子が荒々しく声を上げる。
その声の大きさと込められた怒りに捜索をしていた刑事達の手が止まった。
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