夫婦円満の秘訣

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小柄な刑事に腕を引かれながら大輔はふらふらと玄関まで歩を進める。 刑事は状況を携帯電話で伝えながら、大輔を病院へと運ぶ手続きを取る。 精神的なケアが出来るように準備を整えるようにと伝え、携帯電話を切った。 玄関で大輔に靴を履くよう促すが、不意に大輔の足が止まった。 ショックで止まっていた思考が動き出し、気分が悪くなったのかもしれない、そう思い刑事は大輔の顔を覗き込む。 目の錯覚かもしれないが、刑事の視界には大輔が笑ったように見えた。 刑事が大輔に声をかけようとした瞬間、大輔は刑事に引かれていた腕を振り払い部屋の中へと戻っていった。 呆気に取られた刑事は急いで大輔の後を追う。 部屋へと戻った大輔は久美子に向き合い、久美子の頬へと愛しげに手を伸ばし撫でた。 刑事達は信じられない光景を目にしている。 自分に好意を持った女性を皆殺しにし、あまつさえそれを食べさせた女。 その女を前にした男のする事ではなかった。 まともな人間なら、思い出したくもないだろう。 ましてや…。 「…久美子…。君と結婚して良かった…。君の食事は最高だったよ。」 .
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