24人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
小柄な私はいつも溝口を見上げるばかりで、その私から見た、溝口の頭の毛は、普通にあったので、まさか頭頂部が、そこまで薄いとは、思わなかったのだ…
思わず、プッと吹き出しそうになった。
同時に、肩の力が抜けた。
「…一度だけですよ…部長…」
私は言った。
その言葉で、眼前の頭を下げた溝口の顔が、ホッと和らぐのを、私は見逃さなかった。
「…ありがとう…恩に着るよ…」
頭を上げるや、開口一番、溝口の顔が喜色満面の笑顔に変わった。
最初のコメントを投稿しよう!