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隣国との国境沿いで、交通の要所でもあるこの辺りを治めている公爵は、社交的で音楽や舞踏が大好きだった。
自身や家族の誕生日、その他にも祝事などには必ず楽器の奏者や歌い手、踊り手を呼んだ。
公爵自身も歌や舞踏のセンスはなかなかのもので、客人にしばしば披露しては拍手喝采を浴びていた。
ホロンが呼ばれたこの日は、公爵の結婚記念日だ。
公爵の館は、この辺りでは珍しく白い滑らかな石で出来ていた。ホールにはざっと20人ほどが集まっていた。
内輪の祝いという事で、そう大きな宴ではないのだが、ホロンの他にも、金属製の縦笛を吹く者、木をくり抜いた打楽器を軽快に打ち鳴らす者など、数名の奏者が並んでいた。
「どうも我が国ルスルスは芸術性が低いと思うのだ。
10年ほど前にスザールという国に行ったのだが、あそこはすごい。街じゅうに素敵な音楽やダンスが溢れている。
私はこの国にももっと華やかで洗練された芸術を広めたいのだよ。」
公爵がそう言うと、招かれた客人達は
「ごもっとも」
「流石は垢抜けていらっしゃる」
などと口々に褒めそやした。
公爵は満足そうな笑みを浮かべて、奏でられる音楽に聞き入っていた。
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