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セレは部屋のベッドに寝かされた。
ナーガに魔法で涼しい風を送ってもらい、数分後に心地よく目覚めた。
「お目覚めですね、セレ様。
来客です。今、ピアリの部屋で待っていただいてます。身支度を整えてシャキッとしてください。」
「シルクルと彼の友達だろ。ヒターラを返しに来てくれたんだな?」
「ええ。でも、もう1人います。あのヒターラの価値に気付いて、持ち主であるセレ様を見に来たのです。」
「俺を見てどうしようと言うんだ?」
「身の程知らずがセレ様を『品定め』に来たんですよ。
セレ様の真の値打ちなど、あんな奴に分かってたまるか!
『芸術性のカケラも無い』と見下した事を後悔させてやる!」
ナーガは憤っていた。
「…芸術性のカケラも無い?」
珍しくセレは気にした。
「セレ様、あんなエセ芸術家の公爵の言う事など気にする必要はありません!」
「公爵なのか、その者は。」
「ええ、でも公爵の位に相応しいとは思えませんね。…セレ様、これを着てください。」
ナーガは服を差し出した。
「…ほとんど正装じゃないか。なんでこんな服を持っている?」
「もしもの時の為に、とタリヤ様から預かったのです。」
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