第1章 泥棒狐

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セレシュヤーデ・スィン・ハティアス・カナーン・ランディール これがセレのフルネームだ。現在は22才。 ランディール家はロストークという国の王家であり、強力な魔法使いの血筋でもある。 エメラルドの様な緑の瞳の持ち主が多く、セレもそうだった。 セレはランディール家の長子としてこの世に生を受けた。 しかし生まれつき心臓に異常があった為、王位継承が無理だと分かった時点で『死去』とされた。 ロストークでは第1王子しか王位を継ぐことができないから、弟が産まれた時に備えてのことだ。 セレは深い森の中の離宮でひっそりと暮らす事になった。 幸い2年後にセレの弟が産まれ、無事に王位継承者と認められた。 そんな訳で、セレは家族と一緒の時間はほとんど持てなかったが、家族と愛情で繋がっているのは常に感じていた。 その為か、セレはそんな環境でも大らかに育った。 だが、セレの心臓の具合は成長と共に悪化していった。 21才の頃、地震の災害から国を守ろうと無理に魔法を使い、命を終えたはずだったが… 『フィズ』という魔法石を宿す事になり死を免れたものの、今度は400年以上も生きる事になってしまった… 歳をとるのが異常にゆっくりになったという事だ。
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