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シルクル、ホロン、公爵はピアリからヒターラの事を聞いていた。
ピアリは、セレがスザール国王の病気を治した礼としてヒターラを貰ったのだ、と話した。
「スザールの国王陛下から賜った物だったのか…」
納得した表情で公爵が言った。
「陛下のヒターラを作った職人に頼んだそうです。陛下のヒターラの腕前は、もう夢のようで…魂を揺さぶる音と言うのでしょうか…とにかく感動するのです。」
「ほう、拝聴してみたいものだな。」
「それに上品でお優しくて、見目も麗しく、本当に非の打ち所のない…」
ピアリがうっとりと話しているところに、軽い咳払いが聞こえた。セレが来たのだ。
鶯色の絹織物の長衣を着ていた。前の合わせを光沢のある組紐と蔓植物が彫られた金のボタンで留めている。
これで帯を締めてマントを羽織れば王族の正装だ。
セレはチラッとピアリを見てから客人に挨拶をした。
「お待たせした。」
ホロンとシルクルは椅子から飛び上がる様に立った。
「この度は、大切なヒターラをお貸し頂き本当に、あ、ありがとうございました!」
ホロンが上ずった声で言った。
「うん。気を使うな。君がシルクルの御友人か?」
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