第4章 品定め

5/23
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
シルクル、ホロン、公爵はピアリからヒターラの事を聞いていた。 ピアリは、セレがスザール国王の病気を治した礼としてヒターラを貰ったのだ、と話した。 「スザールの国王陛下から賜った物だったのか…」 納得した表情で公爵が言った。 「陛下のヒターラを作った職人に頼んだそうです。陛下のヒターラの腕前は、もう夢のようで…魂を揺さぶる音と言うのでしょうか…とにかく感動するのです。」 「ほう、拝聴してみたいものだな。」 「それに上品でお優しくて、見目(みめ)(うるわ)しく、本当に非の打ち所のない…」 ピアリがうっとりと話しているところに、軽い咳払いが聞こえた。セレが来たのだ。 鶯色(うぐいすいろ)の絹織物の長衣を着ていた。前の合わせを光沢のある組紐と(つる)植物が彫られた金のボタンで留めている。 これで帯を締めてマントを羽織れば王族の正装だ。 セレはチラッとピアリを見てから客人に挨拶をした。 「お待たせした。」 ホロンとシルクルは椅子から飛び上がる様に立った。 「この度は、大切なヒターラをお貸し頂き本当に、あ、ありがとうございました!」 ホロンが上ずった声で言った。 「うん。気を使うな。君がシルクルの御友人か?」
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!