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「宿場町の温泉ですし、今度はちゃんと入れるでしょう。」
ナーガが言った。
「うん…楽しみだ。」
セレはそれこそ遠足の前日の子供の様な気分だった。
歩く事2時間弱、宿と商店が並ぶ町が見えてきた。
「人が多いな。」
「見た事の無い道具を持った人がいる。」
「綺麗な花模様の服を売ってるわ。」
「あれは魔獣ですよ。」
それぞれ、目の付け所が違う。
「さて、宿を決めなければ。」
決め手はもちろん温泉だ。地元の人々に聞き込んで、候補の宿を絞った。
最後に選んだのは小さな温泉を併設したこじんまりとした宿だった。
大きな温泉は当然多くの人が来る。
セレは、背中にあるランディールの紋章のタトゥーを見られたくなかったのだ。
宿帳に4人の名前を書いて、部屋に入った。
今回は部屋を二つ取って男性3人とピアリで分かれた。
「ちゃんとしたベッドがあるわ。気持ち良く寝られそうね。」
「この先、イズムルトまではちゃんとした寝床には巡り合わないだろう。せめて今夜だけでもゆっくりと休もう。」
荷物をそれぞれの部屋に下ろして、軽い食事をとった後、温泉に入る事にした。
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