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「今回は俺が先に入ってもいいかな?」
セレはピアリにきいた。
「もちろんよ。人生初の温泉でしょ。どうぞ楽しんで。」
ピアリは快く答えてくれた。
「やった…!」
逸る気持ちを抑えながら浴場に向かった。
ナーガとルルグも一緒だった。
ラタンで編まれた簡単な扉を開けて中に入ると…
「岩風呂だ!」
天然の源泉が岩壁から流れ出ていた。
セレとナーガは腰周りに大判のタオルを巻いて湯に浸かった。王侯貴族は入浴時も全裸にはならない。
ルルグだけは『まんま』だった。
「あー…これが温泉か…」
セレが今までに入ったどんな湯とも違う。
…何だろう、身体の芯までじんわりと染みるこの心地良さは…
岩にもたれかかり、気持ち良さそうに目を閉じて動かなくなった。
ナーガはセレの頭の中を覗いたが、ほぐれた快感で満ちているだけで、言葉らしきものは見当たらない。ほとんど意識を失っている様な状態だった。
「…セレ様?」
まさかと思って見ていると、カクン、とセレの首が前に倒れて顔が湯に浸かった。
「あっ…!」
『意識を失っている様な』ではなく『完全に意識を失っている』だ。
「セレ様! 」
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