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「どんな時も感情にとらわれず冷静でいるということだな。肝に命じておく。」
しっかりとセレは頷いた。
「はい。決してお忘れにならないで下さい。もちろん、もしもの時は私が全力でお止めしますが、及ばぬ事もあるのです。」
ナーガの言葉がいつもより重く感じられた。
「心配するな。大丈夫だ。」
セレはナーガの肩を叩いた。
…と…ナーガの懐から小ぶりの本が落ちた。
「あっ!」
ナーガは慌てて拾おうとしたが、セレの方が早かった。本のタイトルは…
『正しい主人の選び方』
「…何だこれは?」
思いっきり不審な目でナーガを見た。
「…そのっ…違うんです!我々の国で話題の作家なのです…ただ面白そうだと思っただけです!」
「何がどう違う? 私の事が信頼できないのか? 」
「そんな事ありません!」
「私が納得できる様に説明しろ!」
「……」
ナーガは何も言えなくなった。
蛇に睨まれた蛙…いや、天空の竜に睨まれた小さな翼竜だ。
ピアリとルルグは囁きあった。
「確かにコワイわ…そのうち目から稲光りを出して放電でもするんじゃない?」
「今、感情にとらわれないって言ったばかりだよ…」
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