第6章 旅の中で

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「どんな時も感情にとらわれず冷静でいるということだな。肝に命じておく。」 しっかりとセレは頷いた。 「はい。決してお忘れにならないで下さい。もちろん、もしもの時は私が全力でお止めしますが、及ばぬ事もあるのです。」 ナーガの言葉がいつもより重く感じられた。 「心配するな。大丈夫だ。」 セレはナーガの肩を叩いた。 …と…ナーガの(ふところ)から小ぶりの本が落ちた。 「あっ!」 ナーガは慌てて拾おうとしたが、セレの方が早かった。本のタイトルは… 『正しい主人(あるじ)の選び方』 「…何だこれは?」 思いっきり不審な目でナーガを見た。 「…そのっ…違うんです!我々の国で話題の作家なのです…ただ面白そうだと思っただけです!」 「何がどう違う? 私の事が信頼できないのか? 」 「そんな事ありません!」 「私が納得できる様に説明しろ!」 「……」 ナーガは何も言えなくなった。 蛇に睨まれた蛙…いや、天空の竜に睨まれた小さな翼竜だ。 ピアリとルルグは(ささや)きあった。 「確かにコワイわ…そのうち目から稲光りを出して放電でもするんじゃない?」 「今、感情にとらわれないって言ったばかりだよ…」
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