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セレの顔を湯から上げて、肩を揺さぶった。
少し離れた所で温まっていたルルグも、何事かと寄って来た。
「どうしたの?」
「セレ様が気を失っています!」
「えぇっ?」
2人でセレを抱えて湯から出した。
湯船の縁の平らな岩の上にセレを横たえた。
その時ナーガは何者かの魔法を感じた。
「敵か?」
警戒していると、扉の外からピアリの声がした。
「セレ!泥棒よ! セレのヒターラを盗られたわ!」
「ヒターラ?!」
ナーガは思わず扉を開けてしまった。
「ひっ!」
ピアリは引き気味に声を上げて、一瞬は目を逸らしたが、ナーガの腰にちゃんとタオルが巻かれている事に気がついた。
「なんだ…その格好なら大丈夫だわ。セレは?」
「それが…」
ナーガが振り返ると、やっとセレが意識を取り戻して起き上がったところだった。
「セレ様!大丈夫ですか?」
「うん…気持ち良すぎて意識をまともに保てないよ。昇天しそうだ。」
ほんわりした表情でセレは答えた。
「意識を失っちゃうほど気持ちいいって?…よく分からないけど、とにかくあなたのヒターラが盗まれたのよ!」
ピアリはセレの手を引っ張った。
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