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彼氏(仮)から始まった関係。まんまと真嶋君の敷いたレールに乗せられたと言ってしまえばそれまでだけれど、私は洋平との関係を続けることだってできたのだ。杏里にさえ話すことのできない後ろ暗い関係をどこまでもどこまでも熟成させ、どろどろとしたコールタールのような澱を積み重ねていくことだって可能だったのだ。
――それでも私が選んだのは。
「ふふ。超展開、かもね」
彼には沢山の子猫ちゃんがいるから、毎日が嫉妬で大変かもしれない。もしかしたら北山さんや斎川さんに嫌がらせをされるかもしれない。それなのにワクワクするような未来が待っていると何の疑いもなく信じられるのは何故だろう。
真嶋君はにっこりと白い歯を見せた。
「レッツポジティブシンキング」
(ああ)
彼の言葉がストンと腹に落ちる。
(そっか)
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