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イデア草原南部に存在するサウス国王都ハイシャンの王城は静けさに包まれていた。城内謁見の間でマーズ基地司令ロック大佐はサウス国国王ソンヌを待ち続けた。前線基地マーズの状況を知らせるためだった。
「……なるほど。そのタク・トミノなる者が”突破者”になる可能性があると大佐は言いたいのだな。覚えておこう」
国王は気さくに言い、大佐は深く頭を下げた。
「御意。あの者ははるか異国からサウスにやって来ました。乗っていたRBもわが国のRBとは異なる技術で開発されたものです。我が軍でも至急その技術を解析し、新型RBの量産に生かしたいと思います」
大佐は国王に報告書を提出し、国王が読み終えるのを待って言葉を続けた。
「そして我が軍の特殊部隊所属の突騎兵隊ですが、タク・トミノの調練が終了すれば五名の精鋭がそろうことになります。まずはその突騎兵隊をもってノウス前線部隊にひと当てしたいと思います。国王のご許可を」
ロック大佐はうやうやしく敬礼し、謁見の間を退出した。
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