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「……血だらけじゃない。生きてるの? 返事してよ」
ショートヘアの少女が死んだように眠っている拓に話しかけた。
「……う、うう」
「なんだ生きてるじゃん。心配して損した」
少女は微笑み、拓の身体を軽くゆすりながら黒い瞳を輝かせた。
「ねえ、そこの壊れたライドバスターはあなたのもの?」
意識を取り戻した拓は少女の顔を見つめ、彼女が指差す先の愛車NS7を見た。
「……ここはどこだ。俺はレース中に事故って、うう頭が痛い」
「あなた名前は? 自分の名前言える? サウスの人?」
「……タク」
拓は頭痛をこらえながらそう答えるのが精一杯だった。
「アタシはキョウコ。キョウコ・ミソラ。こう見えて軍人なんだよ」
拓の目に明るいブラウンの髪の毛が映った。
「……タクは突騎兵でしょ。戦いに負けて逃げてきたんだ。そうでしょ?」
半壊した愛車を見つめながら拓は再び意識を失った。
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