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「お前がタク・トミノか。ミソラ軍曹から話は聞いた」
端正な顔立ちの軍人が、青く細い瞳で拓をにらみつけた。喉元にサーベルの切っ先を当て、いつでも殺せるのだと言わんばかりに口元をゆがめた。
「お前は青いRBに乗っていたな。いま我が軍の研究チームが機体を分析している。少なくとも我が軍のRBでないことは明白だ」
拓は何かを聞かれるまで黙ろうと決めていた。
「ハッキリ言え。お前はノウスのスパイだろう?」
サーベルの切っ先が拓の喉に食い込んだ。
「……スパイではありません。俺は日本から来たんです。横浜というところから来ました。ノウスとかサウスとか、イデアとか、何もわかりません」
拓の返答を聞いた軍人は青い目を見開き、サーベルを引いてそれを部下に預け、代わりに銃を取り出して銃口を拓の眉間に当てた。
「……ニホンだヨコハマだのわからないことを。いいか、お前はライドバスターに乗っていた。それはお前が突騎兵であることの証だ。我がサウス軍にも突騎兵は数えるほどしかいない。お前がサウスの軍人でない以上はノウスの突騎兵だと考えるのが道理だろう。さあ吐け!」
軍人は銃の引き金にかけた指に力を込めた。
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