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「ロック大佐! ちょっと待ってください!」
部屋に飛び込んできたキョウコが息を切らしながら叫び、今まさに銃を撃たんとしている軍人の腕にしがみついた。ロックと呼ばれた男はキョウコを払いのけようとしたが、はずみで銃を落とした。
「大佐。タクは本当に何も知らないんですよ。アタシにはわかります。タクの目を見てください。ウソをついてる人間の目じゃないですよ」
ロックはタクのアゴをつかみ、まじまじとタクの瞳を覗き込んだ。
「……俺ににらまれて目をそらさないとはな。度胸は一人前のようだ」
ロックは青い瞳をキョウコに向け、軽く微笑んだ。
「よかろう。ひとまずこの男はミソラ軍曹に預ける。齢も近いようだし、油断して何かをしゃべるかもしれんな。ただし、いずれにせよこいつをマーズ基地から出すなよ。脱走を許せば軍曹も重罪だ。油断するな、以上だ」
キョウコは敬礼し、拓に肩を貸して別室へ連れて行った。
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