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「ここはアタシの部屋。ここならゆっくり話もできるでしょ。狭いけどね。あんまりきょろきょろ見ないでよ」
差し出された小さなイスに腰掛けた拓は言われたとおりに正面のキョウコだけを見た。
「んん……そんなにじっと見られると恥ずかしいじゃん」
キョウコは頬を染め、顔をぷいと背けた。
「……聞いてもいいか? なぜ俺はスパイ扱いされてる?」
拓はキョウコに近づいて尋ねた。
「……ライドバスターに乗ってたから。ああいうマシンに乗れるのは突騎兵だけなの。普通の人はRBには乗れないし、乗っちゃダメなんだよ。この国ではね。今はサウスとノウスは戦争中だし、みんなピリピリしてるの」
キョウコはそこまで話すと卓上の飲み物を口にした。
「タクが混乱してるのはわかる。タクがこの国の人じゃないのもわかるんだ。雰囲気が違うもん。でもね、アタシはタクと仲良くなれる気がする。理屈とか抜きでね」
キョウコが話し終えるのを待って拓は口を開いた。
「ここは俺の住んでいた国じゃない。それはわかる」
キョウコは黙ってうなずいた。
「俺はこれからどうすればいい? 教えてくれキョウコ」
拓の頼みに対してキョウコはしばらく考え込んだ。
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