長生き爺さん

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長生き爺さん

 じいちゃんは今年で百三十歳。  国内最高齢ということで取材はたびたび受けている。  それに応じる本人は元気はつらつ。…だけど、生まれてからずっと一つ屋根の下で暮らすことを余儀なくされてきた玄孫の俺は、それが偽りだと知っている。  だって、じいちゃはもう死んでるじゃないか。  色々聞いたら、『超』目立ちたがりだからもう死んでるけど生きてるふうを装って、周りにちやほやしてもらってるんだと口走った。  どうしてそんなことができるのかは、じいちゃん自身にも判らないらしい。でも、定期的な検診で病院に行く時以外は、確かにその心臓は停まっている。本人がピンピンして動き回っているにもかかわらず、だ。  人間、目立ちたいっていう理由だけで、生き死にすら超越できるのか。  ちなみにこの『一番上』のじいちゃんの息子である、俺にとってはひいじいちゃんはもう死んでるし、孫である、俺自身のじいちゃんも、もう長くないと医者に言われている。 「あの二人は俺みたいな意思を持ってないからな」  意志で何とかなる問題じゃないんだけどな。  さて、この普通でないじいちゃんは、はたして後どれくらい、長生きの人を演じ続けるつもりだろう。  さすがに化け物としか見られなくなるだろうから、俺が老人になる前には生者のフリはやめてくれよ。 長生き爺さん…完
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