意地っぱりな唇

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「その製品の品番は?何台いるんですか」 「システムキッチンだ。マーブルシリーズ。 MS3を十台」 「また古い型を……MS3ね。なんとか なるかもしれない。ちょっと電話を借ります」 「本当か、高橋さん!」 「確証は無いですけどね」 私は手近な電話の受話器を取り上げ、 直通のボタンを押した。 掛けた先は先週電話で話した、倉庫の主任だ。 「本社営業二課の高橋です。日比野主任を お願いします」 先週私が倉庫の担当者と電話で話したのが、 廃番を含めた価格の安い製品だった。 その中には、今問題のマーブルシリーズも 含まれている。 別件で仮押さえしていたMS3を、佐川さんに 回せたらと思ったのだ。 「そうですか、ありがとうございます。 決まったらまた連絡します。そちらも 押さえておいてください」 すぐに電話に出た日比野さんとの話の結果、 MS3と同モデルで格上タイプのMG3を 仮押さえできた。 その上でMS3の件を隆司に話して、 指示を仰がなければならない。
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