花一匁

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何で僕だけみんなと遊んじゃいけないの? 何で僕はみんなから"鬼子"って言われるの? ねぇ…僕は何で生まれてきたの? 「何でお前みたいな鬼が生まれるんだ!?お前のせいで私まで化け物扱いされる!お前なんか地獄に帰れ!鬼の国に帰れ!!」 「痛い…!やめて…お母ちゃん…!」 「お前に母親と思われるだけでも虫酸が走る!さっさと死んでくれりゃいいのに!双子の姉の方はすぐ死んだ親孝行な娘だったのに!」 僕もお姉ちゃんと一緒に死んでいたら、お母ちゃんは喜んだんだ…。 僕がみんなと違うからいけないんだね…。 こんな人生を送るくらいなら、生まれてこなきゃよかったのに。 お母ちゃんからの折檻は痛いけど、でもお母ちゃんだって痛いこといっぱいされたから、僕は我慢しなくちゃ…我慢すれば、お母ちゃんはいつか笑ってくれる。 僕は一人で山の麓にある神社に向かっている。 山神様が冬でも村に恵みを与える代わりに、村から一人生贄を差し出せということらしい。 村のみんなもお母ちゃんもとっても喜んで、僕を山神様に差し出すことに決めてしまった。 うん、みんなの笑顔が見たかったから、僕も喜ばなきゃ……何で泣いているんだ…。
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