149/175
921人が本棚に入れています
本棚に追加
/175
 耳朶に唇を押し当てるようにして囁きかえすと、温かな手のひらで内腿を撫でられた。 「そんな言葉、絶対に私以外の男の前で吐いては駄目だ」  ネクタイを引き抜くと、今城はあっという間にタキシードを脱ぎ捨て、下着一枚の姿で達希にのしかかってきた。 「吐くわけない。匡史さんだけだよ。匡史さん以外となんて、絶対にしない。だから匡史さんも、これからは出来るだけ、俺以外のひととえっちしないで」 「達希と出逢って以来、一度も誰とも肌を重ねていないよ。これからも生涯、お前だけを愛し続けるつもりだ」 「うそ……だ」  政治家でありながら見目麗しく男の色香に溢れた今城は、世の女性たちからタレントのように絶大な人気を集めている。この六年間、一度も誰とも肌を重ねなかったなんてあり得るだろうか。 「嘘なんかじゃない。本当だよ。こうしてお前を抱ける日を、ずっと待ちわびていたんだ」  下着越しに、今城の熱が伝わってくる。たくましいその牡の感触に、彼の言葉に、じわりと涙腺が緩んでしまいそうになった。 「ねえ、匡史さん……ここに、キスしてもいい?」  おそるおそる、今城の中心に触れる。達希の指先に、生々しい熱が伝わってきた。 「駄目だ。お前の愛らしい唇を汚したくない。くちづけるのなら、ここにしてくれ」     
/175

最初のコメントを投稿しよう!