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ラータンが口の中でもごもごと呪文を唱えると、なんと、杖が急にぶわっと宙に浮き上がりました。 ヴィヨセラスは驚いたどころではありません。ふらふら揺れる杖から落ちないようにしっかりと杖を握りました。 杖はぐぐっと上空に上がるとくるりと向きを変え、南に向かって一直線に飛び始めました。 ヴィヨセラスが生きた心地もなく下を見ると、中央広場が下に吸いこまれるようにどんどん小さくなって行き、やがてヴィスワ川さえも見分けがつかなくなりました。 ラータンは白い髭と髪を風になびかせながら、調子を付けて何か歌のようなものを歌っていましたが、何を言っているかはヴィヨセラスには分かりませんでした。
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