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そんな面倒な。俺にとっては複合曜術と同じ位難しいんだけどお……。
でもやってみなきゃしゃーないか。気合入れて、もう一度。
「めっさー……ぶらっと……ん? 違うな。メッサーで、グロウして……ブラットでフロート……メッサーでグロウ、ブラットでフロート……」
とにかく体で覚える、意識しないぐらいにイメージを固める。
口で言うのは簡単なんだけど、刃にする葉っぱに集中すると、次の行程に意識が行かない。この世界って【術】自体に力が有る訳じゃないし、あくまでも【術】を作って発動するのは本人のイメージだから、貧弱な想像だと上手くいかないんだよな……。でも段々精度は上がって来たぞ。
「もう昼過ぎか……。うん、丁度ツカサくんも【メッサー・ブラット】を使えるようになってきたし、実戦練習してみようか」
えっ、俺達が花畑に来たのは朝だったのに。
それだけ集中してやってたのか……凄いな俺、授業なんか殆ど寝てたくらい勉強嫌いだったのに。いや、まあ、これは勉強って言っても魔法の勉強だもんな。自分の熟練度も目に見えて解るし、その分熱中できたのかも。
しかし実践かあ。大丈夫かなあ……。
ちょっと不安だけど、まあ相手は人間には危害を加えないモンスターだ。
……それをモンスターって言っていいのかは謎だけど、うん、まあ、許せ。俺の為にお前が蓄えている蜂蜜が必要なんだ。無駄にしないから斃させてくれ。
「充分距離を取って……さ、やってみよう」
「……よし」
気合を入れて、深呼吸をする。
真正面にハニーターネペントを捉えて、俺は相手を見据えた。
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