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煮沸した瓶を清潔な布の上で乾かして、ハニーターネペントの口部分をちょっと切り取る。瓶に入れるための受け口だ。下に瓶を置いて、中身の溶解液を注ぐと、白く粘性の高い液体がドロドロと流れ出て来た。
……色々思い出す物があるが気にしないでおこう。
「なんか精液みたいだね」
「あーもー言わないで置こうと思ったのにお前はよー!!」
ていうかこっちでも精液って言うんだね! ああもう知りたくない知識知っちゃったよ畜生めとにかく溶解液はでっかい瓶二つ分になりました!
さっきのは忘れよう。中を水で綺麗に洗って、覗いてみる。
しっかし、防御力があんまりないわりに肉厚だなあ。
溶解液で溶けない構造みたいだけど……これ食えるんだろうか。
「蜂蜜は下部だね。少し切り取って、絞り出そう。瓶はこれでいい?」
「あ、うん」
壺の下部を少し切り取ると、中から溶解液とは違う黄金にも似た色の蜂蜜が流れ出した。この個体は結構な蜂をもぐもぐしていたようで、面白いように蜂蜜が瓶に溜まっていく。その量は中くらいの瓶三十本分にも及んだ。
ハニーターネペントに蓄積されている蜂蜜は、直接蜂から採取して体内に保存しておくからかなり純度が高い。一年くらいは平気で持つ。
「ツカサ君、このくらいの綺麗な蜂蜜なら金貨二枚は固いよ! 運が良かったね、こんなに採れるのは珍しいんだよ」
「へー……じゃあ、十本分くらいはどっかに売るか。あとはこのしぼんだ物体だが……うーむ」
たしかアンプネペントは食えたんだよな。水っぽい瓜の味だって書いてあった。
なら、この蜂蜜瓜なハニーターネペントも食えるんじゃないか?
「ロク、ちょっと食べてみて貰っていいか」
「キュキュー!」
肩で大人しくスヤスヤしていたロクに呼びかけると、すぐに飛び起きて萎びた瓜の上に乗ってくれた。そのまま暫しにおいを嗅いでいたようだが、確認し終えたのか表面をぱくりと食べる。
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