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「キュッ」
次は下部……蜂蜜を蓄えてあった部分、そして最後は中の溶解液に触れていた部分を食べる。出て来たロクは苦そうな顔をしていた。
多分、中身はダメだな。
「溶解液が触れてた所以外は食べられそうか?」
「キュー!」
俺の言葉を理解して、ロクは一生懸命に頷く。感応能力のお蔭なのかは知らないけど、ロクは俺の言っている事が全て解っているみたいなんだよな。
じゃあ、内部は残して下部と表面は試食してみよう。
サクサクとでっかい食虫植物を解体する俺に、ブラックは嫌そうに顔を歪める。
「ええ……それ食べるの……?」
「ロクが大丈夫って言ってるんだからいいじゃん。アンプネペントも食べられるんなら、コイツだってそこそこイケるはずだぜ」
「でもさあ……いっくら瓜っぽいって言ってもねえ」
ええいうるさい、食べたくないんなら食べないでよろしい!
人間を食べてる瓜じゃないんだから、悍ましさは無いはずだぞ。
綺麗に取り分けて、内部は焼却処分。表面はだいたい厚さ八センチくらいは残す事が出来た。一応下部と表面は良く洗って、切り分ける。
さて、実食。
「うーん……こうしてみるとわりと果物っぽい……かも」
俺は改めて表面を観察した。
皮の部分は薄く、中の果肉……と言っていいのか……その部分はマンゴーとかの果肉を思い出す。においは無いが味はどうなんだろうな。
いや、迷う事は無い。ええいままよ。
思い切って、俺はそれを齧った。シャクっと軽い音がする。
「……どう?」
「……ん! 結構おいしいかも! 水気が多くて味が薄いけど、わりと甘い。普通の果物よりは美味しいんじゃないか? 蜂蜜のせいかな」
味の薄いスイカって感じだろうか。続けて下部も食べてみて、二度驚いた。そこが一番美味しかったのだ。蜂蜜が染み込んでいるからか、かなり甘味が有る。
これデザートに向いてるんじゃねーの?
教えてくれたロクに美味しい下部を沢山あげながら、ブラックにも食べさせる。すると、ブラックも驚いたのか目を丸くしていた。
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