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本来の曜術の方を鍛錬して行けば、俺の【創造】の術も自然と扱えるようになる可能性もあるからな。
それに、流石に中級曜術くらいは使えるようにならないと。これから何が有るか分かったもんじゃないし。
「えーと……あっ、花畑ってあそこかな」
「キュー」
肩に乗っていたロクが嬉しそうな声を出す。確かに、その光景は綺麗だった。
穏やかな流れの川を挟んで、桃色の花畑が広がっている。
すっごくほのぼのとした光景だ。
だけど、その周囲には不自然にでっかくて黄色い瓜のような植物が生えていて、俺はちょっと慄いてしまった。おう、あんな堂々と生えてるのかよ、ハニーターネペントってのは。俺を搾り取ろうとしたアンプネペントの色違いにしか見えないけど、本当に人間を襲わないんだろうなアレ。
「ええと……周囲にモンスターはいないようだね。……うん、丁度いい。ツカサ君、あの植物を使って練習してみようか。まずは初級術からね」
「それは望むところだけど……アンタ、月の曜術師なのによく水や木の曜術の使い方知ってるよな」
「まあ、いらない知識だったけどね。……でも、今はこうしてツカサ君の役に立ててるから嬉しいよ」
「何言ってんの、いらない訳ねーじゃん。こんだけ色々知ってて便利なのに、ムダとか言う奴の気が知れねっつの」
この世界に来た時なんて、手探りで滅茶苦茶怖かったんだからな。
物は迂闊に口に出来ないし、動物もどういう生態か解らなくてビクビクしてたし、今思い返してもよく死ななかったなと思う程だ。
だから、俺は物を知る事が大事だと痛感した。特にこの世界では、物を知る事が重要だと思い知ったんだ。
日本に居た頃は、本なんて漫画か雑誌か娯楽小説しか読まなかったし、教科書開いたらすぐ寝るタイプだったんだけどな~、俺って。人間、死ぬかもしれないとなると思わぬ力が開花するものだ。
いやまあ、俺の場合そもそもがファンタジーが好きだったから、図鑑だって娯楽として喜んで読んでたんだけどね。うん。
……ともかく、だから、知識は大事だと思うのだ。
そんな実体験に基づく考えを述べただけなのだが、なんだかブラックは感動しているような顔をして目を潤ませていて。
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