4.獣耳娘に会いたいが為に進路を決めた(キリッ

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4.獣耳娘に会いたいが為に進路を決めた(キリッ

     重い足取りでカウンターまで行くと、宿の親父さんとムルカちゃんが何やら話していた。まあ夜だし、後はみんな寝るだけでヒマだもんな。 「すんません。髪を洗いたいのでお湯貰えますか。あと洗い場貸して下さい」 「おう、坊主か。ハニー……おっと、蜂蜜瓜あんがとな。美味かったぜ」 「ほんとですよ~! ツカサさんのおかげでとても幸せになれました……。あっ、お湯ですね、今用意します~!」  ブラックもそうだったけど、ネペント種を食べるって行為は、この世界の人々にとっては「ゲテモノ食い」になるらしい。例え人間を捕食する種類じゃなくても、どうしても実物を見ると物怖じしちゃうんだそうな。美味しいのに勿体ない。  もしかして、ネペント種が食べられるかどうかって事が図鑑に詳しく描かれていないのは、忌避されているからなんだろうか。  ロクの種族は、食べられるかどうかを数行割いて書いてあったのにな。  ページの無駄とか最後に書かれてたけど。ムカツクけど。  と言う訳で、食事に出した時は詳細を伏せて「蜂蜜瓜」とだけ言って貰った。  しっかし、普段は人食いのモンスターだって捌いて食べてるんだろうに、基準がよう分からん世界だ。タコを食べない西洋人みたいなもんなのかね。 「そういやお前さん、髪の色が珍しいな。ハーモニックの人間かい?」 「え? ああ、ハーモニックって……あの南の?」  思い出した、黒髪ってこっちじゃ珍しいんだっけ。  旅人が沢山いる場所では、黒髪は「珍しい」とは言われても「希少」って騒がれる事はないし、あんまりジロジロ見られなかったから忘れてた。  確か東の方に多いって話だったけど、ハーモニックにもいるのかな。  
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