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それには私の知らない亜矢香の声が。
「アハハッ、まさか本当に佑磨に復讐なんてすると思わなかった。こんなことして、あいつもうこの大学に居られないわよね?佑磨もさすがにここまで好きな女にされたら、諦めもつくよね?」
「亜矢香ちょっと酷すぎじゃない?さっきの動画も亜矢香が計画して撮って拡散したんでしょ?佑磨と恵がお互いに好きなの知ってて、こんなことやらせたんでしょ」
「いいのよ、私の佑磨を奪おうとした恵が悪いんだし、私のものにならない佑磨も悪いんだから」
入っていたのはそこまでだったけど、全てを知るには十分だった。
「俺も逆らったら、家がどうなるか分からなくて逆らえなかった。でも、俺も両親も、もう亜矢香達に服従するのはやめたんだ。苦労は絶えないけどさ、言いなりになってた時より、全然いい」
佑磨くんは、私に近づいてポケットから取り出したハンカチで、涙を拭ってくれた。
「今更、許してくれなんて言わない。言いなりになって白石を傷つけたことには変わりないから。でも、これから先、白石……め、恵に傍にいて欲しい」
ああ、佑磨くんは私の『お返し』で心を入れ替えたのね。それに未だにおばあちゃんの姓に変えた私を、以前の『白石』と呼ぶのね。本当の私を見てくれているのね…。
そして、私はまた『お返し』をしなければ。
さっき、おばあちゃんが教えてくれた
人の痛みを知るきっかけを、人を疑う事を、信じて疑わない人を疑うきっかけをくれた『お返し』に。
親友だと信じて疑わなかった亜矢香に。
同じように苦しめ、傷つけられた佑磨くんと。
ね?そうでしょう、おばあちゃん。
世の中には『お返し』しなきゃいけない人が多くて、大変で困っちゃうね。
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