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荒木主任が、袋の中身が生チョコレートで、滝本くんにプレゼントしようとしていたことまで知っているなんて。いったいどれ程会社で広まっているんだろう?自業自得だ。そんな、私の心を見透かしたのか、荒木主任は言葉を付け足した。
「あ、安心して。見てたの俺だけだし、誰にも言ってないから。」
邪魔になるから出ようと言われ、掴まれた右腕をそのまま引かれて、コンビニの外に出た。
「はっ、離して下さいっ!」
そう言うと腕は離してもらえたけど、サッとチョコレートの袋を奪われた。
「それっ、」
「要らないんでしょ?ダメダメ、食べ物を粗末にしちゃ。大丈夫、俺がちゃんと食べるから。」
じゃあ、と言うと荒木主任はさっさと長いストライドで駅へと向かう人並みの中に消えてしまった。
捨てたい物が無くなってホッとしたのと、荒木主任に弱味を知られて困惑したのと、どっちの方が大きいのか分からないけど、私の頭はパンク寸前だった。
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