一章:ValentineDay

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先輩はドンドンッと俺の肩を柵に思い切りぶつける。 ツッ…と痛みをこらえ、肩から滴る血を眺め、諦めたように見せかけるために目を閉じ、肩の力を抜く。 遂に彼女は俺を屋上から突き落とした。 俺は咄嗟に目を開き、クルクルとバク転をして華麗に着地した。そしてその場で意識を失った。 目を覚ますと、そこは真っ白な部屋だった。 俺のファンクラブの人達、先輩、先生方、家族、クラスメイト、友達etc…の人達がまわりを囲み、俺をジッと見つめていた。 先輩が俺が目覚めたことにいち早く気付き、ナースコールを入れた。 友達の桜木 智哉(さくらぎ ともや)が 「ここは病院だよ。」と言った。 身体を起こそうとすると鋭い痛みが走り、慌てて肩を押さえる。 「なぁ智哉、俺どうしたんだっけ?」 「!?まさか侑翔、記憶喪失じゃ…。」 「いや、智哉の名前とかは覚えてるんだからそれは無いでしょ。」 「いや、ここ2、3週間程の記憶は失っている可能性が有ります。」 「えーと…、貴女は?」 「あぁ、ナースの冴島です。主治医の藍川先生は今日のヘリ担当でして。」 「えと、ここはそんなに大きな病院なんですか?」 「ええ、まぁ程々ですかね。ここは翔陽大学附属北部病院緊急救命センターです。」 「ってことは千葉県の…。」 「ええ。」 「今日は何月何日ですか?」 「3月14日です。」 「えええっ…Σ(Д゚;/)/。」
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