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結婚式後に開かれたパーティーで、私はパパに声をかけた。
「パパ、少し話があるの。」
すると、パパは華やかなパーティー会場から、人気のないロビーに私を連れて出た。私はパパの耳元でこうささやいた。
「そろそろ帰らなければいけないんじゃないの?」
そう言うと私は空を指差した。パパは目を瞑り、しばらく考えたあと、静かに答えた。
「知っていたのか?」
そう、養父として私たちを迎え、そして両手で抱えきれないほどの愛情をかけて私たちを育ててくれたパパは、瓦礫の山の下にある物をあさっていた私に声をかけてくれた、あのおじさんだったのだ。
「なんとなくだけど……ね。」
ちなみにおじさんとパパは顔のつくりから体格まで見た目が全く違う。そう、整形手術や特殊メイクでは到底越えられないレベルで違うのだ。
真相はわからない……そして、それを聞こうとも思わないが、あれだけ見た目が異なっていながら、中身は同一人物であるということは、おそらくパパはロボットなのだろう。宇宙人の召使いとして使われているロボットと考えれば、これまでのことは全て説明がつくからである。
私はパパに抱きつくとこう言った。
「ありがとうパパ。私はあの時、あの国から逃げ出せるだけで良かったのに……ここまでしてくれるなんて思わなかった。」
「お礼を言うのはこっちだよ。あの時、私の主人は2度と故郷に帰れなくなることを怖れていた。」
「実を言えば、それほどギリギリの状態だったんだ。」
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