Prologue:Cobaltblueの瞳は眠る事を知らない

1/1
前へ
/87ページ
次へ

Prologue:Cobaltblueの瞳は眠る事を知らない

都会の真ん中にある『不夜城』と呼ばれる街にあるタワーマンションの最上階。その1室で窓際に立って満月の空を眺めながらロックグラスを傾ける女性が1人いた。 「今日は随分と楽しそうだけど…おかしいわね、皆既月蝕なんて聞いてなくってよ?」 そう呟きながら、振り返るとクイーンサイズのベットに1人の男性が寝ている。その寝顔を見て微笑みながら、髪を撫でる。 「まさかこんな事になるとはね。だからこそあたしが『彼』を見護れって言う事か…『あの方々』には本当に困ったものだわ」 そう呟くとグラスを煽り、空を見ている。次の瞬間、一筋の流星が消えた。 「せっかく寝顔を楽しんでたのに…もう少しゆっくりさせてくれても良いんじゃなくって?獅紋(シモン)、急な仕事が入ったみたい。行って来るわね」 サイドテーブルにグラスを置くと氷がカランと音をたてる。女性はベランダへの窓を開けるとCobaltblue(海碧色)の瞳で赤銅色に輝く異様な月を見つめ、宙に向かって飛び降りた。 刹那、女性の瞳と同じ色の翼が現れ、大きな鎌を持って空を舞って飛び去って行った。 ドアが開け放たれたベランダから吹く冷たい風と共に、羽根がベットに数枚舞い落ちる。急激に温度の下がった部屋のベットで眠りに付いていた男性も、この状況では流石に目を覚ます。 「ベランダのドアは閉めて行けって何時も言ってるだろうが、澪羅(レイラ)!…って行っちまった後に言っても無駄なんだけどな。 でも「急な仕事」って事は予定外の仕事か…一体何があったんだ?」 ベットの上に舞い降りた蒼い羽根を1つ摘まむと、クルクルと回しながら呟く緋色の瞳の男性がそこに残されており、月は黄金色をしている。 これから始まる事件の始まりだとは誰も知らない…
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加