トイレにイットイレ

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 花子さんがツイちゃんを見ると、ツイちゃんは振り返ります。当然、誰も居ません。昭和の残り香のようなボケです。  「お前だ! 化け猫」 「オイラかにゃ?」 「そうだ。お前が手伝ってくれたら、早苗が好きなだけ撫で撫で揉み揉みしてくれるぞ」  ツイちゃんは、花子さんの提案を聞いてハシャギ出します。頭フリフリ、お目目パチパチ、尻尾ユラユラさせて跳び跳ねるのです。 「手伝ってやっても良いにゃ」  話が纏まった三人? は、茜の家へ向かいます。  茜が住む五階の一室へ到着した一行は、チャイムを鳴らしますが応答は無く、玄関には鍵が掛かっていました。 「早苗、玄関の扉をスマホで撮影しろ」  私は、花子さんの指示に従います。  花子さんは、取り込まれた写真へ移動し、ヘアピンを加工してピッキングします。年季の入った小学生? です。いえ、これが妖怪花子の能力なのかも知れません。纏めると、スマホの中で怒鳴り散らし、勝手に留守宅の解錠をする。うん、世界を救えそうな能力なのです。  さて、写真の中のドアが開錠すると、現実のドアからも開錠音が鳴ります。  私は玄関ドアの取っ手を下げ、室内へ侵入します。  室内は静かです。恐る恐る玄関から上がり、廊下を進みます。  いかに友人宅とはいえ、他人の領域に入り込む後ろめたさ以上に、何か重苦しい雰囲気を感じます。疚しい事をしているつもりは無いですが、何故か抜き足差し足忍び足なのです。  廊下の先は、ダイニングキッチンになっています。私が突き当たりのドアを開けると、その先に見た物は、縛られている少女だったのです。 「茜ちゃん!」  茜は、椅子に縄で固定され、口と目には手拭いを巻かれています。モゴモゴと声が出ない所を見ると、口の中に布の様な物を詰め込まれているのかも知れません。これは危険な状況です。  私が茜の縄を解こうとすると、ツイちゃんが異常行動を起こします。化け猫は、テーブルの上に飛び乗ると、背中の毛を逆立て、ある方向を威嚇するのです。爪をビシビシ突き立て、牙を見せます。  フーッ、フーッ ニャギャギャー  かなり興奮しているようで、気が触れた様でした。
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