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さて、何時もならこの時間に茜が迎えに来るのですが、音沙汰がありません。同じクラスの橘 茜は、健康的な小麦色の肌をしていて、私が色白なので、まるっきりオセロなのです。
確か、茜の両親は旅行中なので、一人で起きられなかったのかも知れません。
私は、電話をしてみたのです。
残念ながら、間抜けなコールが続くだけで応答がなく、取り敢えずメッセージを入れて諦めます。
さて、私は一人で登校し、教室内で居場所を確保します。茜は誰とでも打ち解けるタイプなので、こんな時は彼女の偉大さが身に染みたりします。私一人では、どうしても作り笑顔になってしまいます。大勢の中での孤独と、独りで感じる孤独とでは、同じ孤独でも違うもので、前者により強い寂しさを感じます。
やがてチャイムが鳴り、担任が登場します。HRの出欠から、茜が無断欠席なのが解りました。これは心配なのです。
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