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既に二人の間には、私が丁寧に聞き、花子さんが怒って答える。この図式が出来ているようです。なぜ花子さんが私に関わるのか納得できないのですが、何か理由があるような気もします。理屈では理解できない事は、世の中にはまだまだあるのです。
「あたしゃ忙しいんだ。早く悩みを話しな」
私は、花子さんに急かされ迷いました。スマホに向かってブツブツと悩み事を言っていたら、完全に危ない人だと思われるし、それに、現時点での認識は当初と変わっていたのです。
私は、最初は花子さんの事を心霊現象だと思っていましたが、今では良く出来たアプリだと思っています。
「AIもここまで進歩したかぁ」などと内心では感心していたのです。
「新しいお悩み相談アプリかも知れない」そんな風に考えていました。
「あの、いったん終了して、後で部屋で再開しても良いですか?」
私が聞くと、花子さんが怒ります。本当に怖面白い。
「いま言えっていったろうが!」
本当に良く出来ています。技術の進歩には驚いてしまうのです。花子さんの黒い艶髪や、肌の感じ、服の濃淡まで、CG合成とは思えません。表情まで細かいのです。
トイレの個室のドアを開ける演出など、腰が抜けそうでした。
「では、折角だから相談します。同じクラスの茜ちゃんが、学校に来ないんです。連絡も着かないし、心配なんです」
花子さんは、少し考える仕草をしてから答えます。
「茜とは、橘 茜かい? 両親は共働きで、藤棚サンハイツ在住だね」
私は、AI花子のリサーチ力に感心していました。本当に技術の進歩は凄いのです。まるで神様みたいにお見通しで、怖いくらいです。
「凄いですね。何でもパパッと解っちゃうんですね」
とは言え、素直に受け取る反面、個人情報がだだ漏れでしょうか?
「早苗のショーツの色も解るぞ。白だろ?」
「凄い! どうして解ったんだろう?」
「教えん。まぁ、それは兎も角、藤棚サンハイツの前にコンビニが在る。そこへ行け」
「解りました」
私は、花子さんとの会話が楽しくなっていたのです。乱暴な口調の小学生に、親しみを感じていました。
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