第1章 不穏な影と2人目の〇〇〇

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・黒羽 side・ 夏樹に聞いた話をまとめると。 ・この学園には美形には必ずと言っていいくらい、親衛隊というものがつくこと ・親衛隊は俺が知る“親衛隊”とほとんど同じなのだが、過激派というものになると親衛対象に誰かが近付くだけでその人物を排除しようとすること ・今回の事件の犯人が雪兎を狙っていると思った理由は、雪兎の親衛隊の隊員が被害にあった人間の過半数を占めているから 夏樹の言う通り、たしかに雪兎を狙っている可能性が高い。 もしも犯人が雪兎を嫌っていて、(それはないと思うが)親衛隊という護りが邪魔だから怪我を負わせて雪兎から遠ざけたいと思っているなら辻褄が合うし、雪兎が好きで雪兎の近くにいる親衛隊が邪魔だから(以下略)というのも辻褄があう。 「どっちにしろ雪兎を傷付けるやつは許さへん。」 「・・・本当は、あなたにこの事件を話したくなかったんですよ。」 「は?」 お前可愛い可愛い雪兎が大変かもしれないのに俺に話したくなかっただと? 雪兎の行動をこと細かく伝えるようこの学園にお前を送り込んだのは誰だと思ってるんですか、あ゛ぁん? 「あなたは雪兎様のためなら平気で傷付くでしょう?俺はそれが嫌なんです。」 「だって雪兎は可愛いおとうt「だってもくそもあるか!!」・・・へ?」 「昔っからアンタは雪兎様のために平気で傷付いて、誰も知らないところで泣く!!頼って欲しかったのに、全然頼ってくれなくて。・・・やっと雪兎様とのいざこざが解決して、アンタが幸せになれると思ってたのにこの事件が起きて。アンタの幸せを壊すくらいなら、雪兎様の事件を黙っておこうと思ってた。」 「な、つき。」 「・・・でも、アンタは自分の知らないところで雪兎様が傷付いたらもっと泣くんでしょう?そんなの、言うしかないじゃないですか・・・。」 ・・・まったく、この男は。 何でいちいち俺を喜ばすようなことを言うんだか。 こんなことを言われると、胸の奥で押し潰していた感情を曝け出してしまいそうになるのでやめて欲しい。 俺は有能なこの男の未来を、潰したくはないのだ。 「夏樹のバーカバーカ。」 「アンタの方がバカでしょうが!!」 大丈夫だよ、夏樹。 俺は絶対に傷付かない。 雪兎のためにも、俺のためにも・・・そしてお前のためにも。
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