1012人が本棚に入れています
本棚に追加
・No side・
月夜の光が差し込む廊下で、真っ黒い影が動き出す。
黒い影の先にいるのは、青みがかった黒髪を持った生徒会会計親衛隊の1人である・・・浅葱蘇芳。
もうすぐ作品の展示会があるため、彼は夜遅くまで美術室で絵を描いていたのだ。
その後ろ姿を、黒い影が捉えた。
「・・・じゅーさんばんめ。」
「っ!?おま、えは!?」
「悪いけど・・・消えて?」
黒い影は思いっきり腕を振り上げると、勢いを殺さぬままに蘇芳のお腹に拳を殴った。
「ぐっ、は。」
「まだまだこれからだ。」
黒い影がニヤリと口角を上げる。
その目には様々な感情が入り交じっていた。
「・・・雪兎に近付く悪い虫は、全部消さないと。」
ね?と蘇芳に笑いかけながら、黒い影は蘇芳を殴るのを再開した。
ーーーーー・・・
その光景を監視カメラ越しに見ている1人の青年もまた、口角を上げていた。
「ふふっ。ちょっと言っただけなのに信じちゃうとか、本当にバカだなぁ翼は。・・・ま、“朱姫”だった翼なんかどうでもいいんだけど。」
監視カメラの映像を切った青年は、部屋の奥へと進む。
そこには、壁一面に“黒髪と赤目の青年”の写真が張られていた。
「あぁ、やっと手に入る。待っててくださいね・・・“黒兎様”。いや、雪兎先輩。」
最初のコメントを投稿しよう!