1012人が本棚に入れています
本棚に追加
・No side・
ピョンピョンと野ウサギが跳ねるように、闇夜に溶け込まない薄茶色の髪が弾む。
薄茶色の髪を持つ少年は、荒い呼吸を繰り返しながらも足を止めることなく走り続けた。
なぜなら彼の後ろには、1人の男が追いかけていたからだ。
暗闇に紛れるために全身を黒で包み込んだ存在をなぜ男と言えたのかというと、彼が逃げる前に男が呟いたせいだ。
『お前で12人目。』
と。
まるでホラー映画のようなセリフを呟かれれば、誰だって怖い。
彼も例に漏れず、怖くてその場から脱兎のごとく逃げ出した。
そして、この鬼ごっこが始まったのだ。
捕まえられたら何をされるか分からない。
だから彼は逃げて逃げて逃げる。
その足が何度も連れそうになっても、彼は走り続けた。
・・・だが。
ーガシッ!!
「やっと捕まえた。・・・逃げんなよ、めんどくさい。」
男は怠そうにそう言ってから、自分の手を握り締める。
震える彼なんて気にもとめず、その握り締めた拳を大きく振りかぶった。
「あはっ、あははははっ!!アイツに近付く虫の駆除、はーじめっ!!」
そんな陽気な声を出しながら、男は何度も何度も彼を殴り続けた。
__________________________________________________
開始早々ぶっ飛んでます・・・
この話は第2部1章のプロローグ的な話なので次から第2部の本格的な話が始まります
新キャラもたくさん出ます
最初のコメントを投稿しよう!