1012人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬、自分がした行為がよく分からなかった。
他人からキスされたことも男からキスされたことも初めてではない。
確かに俺は腐男子で傍観者ポジを望んでいるものの、まだ見ぬ恋人のためにこれ以上キスされたくないという潔癖さはなかったはずだ。
・・・それ、なのに。
「っ。」
「・・・悪ぃな。」
俺と会長の唇の間には、なぜか俺の指が2本挟まっている。
会長に頬を押し潰された時にはなかったはずの、それ。
いったいいつの間に・・・?と混乱する俺の脳の奥底で、気付いてはいけない感情が揺らめいている。
・・・・・ ・・・・・・・
欲しいのは、この人じゃない。
それが意味するものの先なんて、絶対に気付いちゃダメだ。
「かいちょ、おれ・・・っ。」
「あぁ、大丈夫だ。無理矢理しようとして悪かったな。」
泣きそうになる俺を撫でる会長の手は温かくて、混乱していた脳内が徐々に落ち着きを取り戻していく。
・・・大丈夫。
俺は篠原雪兎。
男同士の恋愛が好きですぐさま妄想に突っ走る、健全な腐男子。
だから・・・だから。
「・・・あのキスを、思い出しちゃダメだ。(ボソッ」
そう呟いた瞬間、遠くで蝉が鳴いたような気がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
学校が終わって更新スピードが異常な作者でございます
前回を見てたぶん多くの方が「ヘタレ会長がついに・・・!!」って思われていただろうなぁと思っているのですが、今回こんな展開になってしまい申し訳ないです・・・!!
会長とのキス(未遂)で雪兎が徐々に自分の気持ちに気付いていく、という展開にしたかったので会長のキスは未遂に終わりました・・・ごめんね会長・・・
最後の部分で雪兎の気持ちが誰に向き始めてるかお分かりの方がいらっしゃるとは思いますがネタバレはお控えいただけたら幸いです
これからも腐男子受けをよろしくお願いいたします!!
最初のコメントを投稿しよう!