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・No side・
緊急役員会議が行われているのと同時刻。
私立一宮学園の門の前で、黒まりm・・・1人の青年がうろうろしていた。
「どないしよ・・・。転校すんのは明日やけど、入寮日は今日やから来たのに・・・。門が開いとらん。」
ガッチリと閉まっている門を見上げて、青年・・・花開院×××はため息を吐く。
こんな場所でうろうろしていたら、侵入者と間違われて通報されてしまうかも。
そう思った彼は、なぜか門を飛び越えることを決意した。
・・・まるで王道転校生のように。
「鞄は邪魔やからあっちに放り投げて・・・と。ほな、行くで!!」
そんな掛け声と共に、ふわりと門を飛び越える青年。
その先にはなんと・・・。
「ほんっとうに、あなたはバカですね。」
「なっ!?夏樹!?何でここにおるん!?・・・って、邪魔や!!はよどき!!ぶつかるで!?」
この学園の生徒会会計を務めている篠原雪兎の親衛隊副隊長、工藤夏樹がいた。
夏樹がいることなんてまったく予想していなかった青年は、勢いそのままに夏樹の方へと落下していく。
やばい、夏樹潰してまう!!
ーふわり。
そんな考えは杞憂に終わり。
青年は、夏樹の腕に抱きかかえられていた。
「へあっ!?な、な、な、夏樹!!は、はよ降ろしてや!?」
「約束通り鬘と眼鏡をつけてきましたね。偉いですよ。」
「これ何の意味があるん?・・・って、話をそらすな!!えぇからさっさと降ろし!!」
「はいはい。」
ゆっくりと青年を地面に降ろした夏樹は、青年から鬘と眼鏡を奪い去る。
言われて付けたのに言った本人に奪われた青年は、首を傾げた。
「付けろって言うたんはお前やん。何で取ったん?」
「久々にあなたのお顔が見たかったんですよ。・・・お久しぶりですね、“黒羽様”。」
「久しぶりやな、夏樹。」
青年・・・黒羽はそう言って笑った後、真剣な顔に変わる。
「それで?雪兎の身ぃに何が起きとるんか、ちゃぁんと教えてくれるんよな?」
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