パン少女

2/2
前へ
/2ページ
次へ
三日三晩熱にうなされて、やっと起きられるようになった。 朝食を食べようとダイニングに行くと、父さんが女の子の人形を食べていた。 「…何…してるの?」 「何って…別に何もしてないが」 「朝ごはん食べる? お粥、昨日の残りあるけど」 「あ、ああ、パンの方が…」 オレが言うと、母さんは人形をトースターに押し込む。 しばらくするとパンが焼ける匂いがしてきた。 ピョコンと飛び出た人形に母さんがマーガリンを塗ってオレによこした。 おそるおそるかじってみる。トーストの味だ。 パン屋の前を通る時、中を覗いてみた。人形がずらりと並んでいる。 オレはなぜだかパンが女の子に見えるようになったらしい。 おもしろい事にかわいいかったり美人なパンは旨くて、ブスなパンは不味いのだ。 女の子たちがブスなパンを見て「おいしそう」と言っていたので、不味いと教えたら、変な顔をされた。 また、好みの女の子と好みのパンはそっくりらしくて、友人はアイドルのグラビアを見ながら彼女にそっくりなパンをかじっている。 また別の友人が気に入っているパンにそっくりな女の子がいたので教えたら、数日後に二人は付き合う事になった。 この能力を活かしてオレはパン会社に就職、商品開発の仕事をしている。 ところでオレには結婚を考えている彼女がいる。 彼女はオレがいつも朝食で食べているパンに似ている
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加