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田沼の話を聞き、間島はフィラフステ星人の監督・演出たちが悲鳴を上げてる姿を思い起こした。フィラフステ星人の4DCGという作画システムは監督・演出たちの脳に針を刺して信号を得るため、とても痛みを伴う。3DCGのスタッフの増員は間島がずっと田沼に上申していた話であり、安定した外注先が出来れば、それは素晴らしい話だ。
「ポリゴノドンの名声もすぐに戻るでしょう。貴方たちの3DCGはウチの担当も見事と褒めています。次にオリジナルを作るときにはフィラフステ星人のプロデューサーたちも手伝えると思いますよ。40年前に『帰宅後のステマ・まじか』の信号を受けてここまで来た同士なのですから。」
さらに田沼が言う。
「そして、いつかオリジナルが成功したら、その時はペカルティア星人と正体を明かす、そういうコトにしませんか?それを我々の条件とします。」
北村社長は泣きながら立ち上がり、田沼と間島に握手を求めた。田沼と間島も立ち上がって握手する。WIN-WINの関係が出来るように俺も頑張らないと、と間島は思った。ポリゴノドンのスタッフも涙を流して頭を下げている……一人の女の子を除いて。
その女の子は後ろ手に何かを隠して二人のほうに近づいてきた。
「田沼監督、サイン、お願いします。」
女の子が差し出したのはマジックと色紙だった。聞けば田沼の作画監督時代からのフアンだったという。
「大切にして下さい、これがフィラフステ星人とペカルティア星人の契約書です。」
田沼はそう言って、さらっとイラスト付きのサインを描いて彼女に渡した。彼女は何度も何度も頭を下げた。
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