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誕生
数か月後、フィラフステ星人の運転免許の停止が解けた。その数日後、間島は車をやや速めの安全運転で走らせる。
「いやあ、間に合って良かったよ。今日の為に免許を取り戻したんだから。」
「別に俺はタクシーでも……。」
今泉が申し訳けなさそうに間島に言う。
「うるせえ、俺も一緒に見させてくれよ。」
20分程走って、車は大型病院の駐車場に入る。ガードマンが駐車スペースを開けていてくれた。車を止めるとガードマンに一礼し、速足で病院内に飛び込む。消毒薬に手を浸し、エレベーターで3階に上がりながら二人はマスクを装着する。
「来た来た、待ってますよ!」
エレベーターを降りると、顔なじみの女医が声をかけてくる。2人は女医について病室に入る。ベッドに寝ていた箱田がニコりと笑いながら、横の赤ん坊に視線を向けて言う。
「2800gの女の子。」
「よおし、ありがとう!、生まれてきてくれて、ありがとう!」
涙をあふれさせた今泉が自分の娘を撫でながら言う。間島も涙を流して拍手したが、女医の咳払いでここが院内だと思い出し、手を止めた。
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