擬態

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 それは40年程前の話だ。地球から180万光年程離れたフィラフステ星から銀河系探索に打ち上げた無人ロケットが微弱な、しかし何かの信号とわかる電波を捉えた。地球の、日本からのアニメーション「帰宅後のステマ・まじか」プロモーション宇宙放送。  フィラフステ星人は、その小さな銀河を探検するアニメに感動した。そして、秘密裏に日本海溝の底に遠征基地を作り、タコに近いDNAを利用した擬態シテスムにより人間に紛れ、アニメ業界に棲みつつ、感動するアニメーションを作る為にアニメーション制作会社「蝦山スタジオ」を運営していた。  そして、ひょんなコトからフィラフステ星人は自分達をモデルにした初のオリジナル作品であるアニメーション映画「深海冒険マリンレスキュー」を作るコトとなったが、それは、地球人の心に届く、40年来のフィラフステ星人の夢をかなえた素晴らしい感動作となった。  初公開後のスタッフによるインタビューの際に、擬態システムのトラブルで、タコ的な正体を現してしまったフィラフステ星人であったが、唯一の地球人声優、箱田雛の機転と「帰宅後のステマ・まじか」の箕輪監督、「蝦山スタジオ」を率いるフィラフステ星人の田沼監督、二人のスピーチにより観客、そして地球人に受け入れられるコトとなった。  そして、箱田雛は声優学校からの恋人であったフィラフステ星人である今泉成人との子供を身籠っていた……。
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