擬態

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 それからのフィラフステ星人達は大忙しだ。「宇宙人」というだけで世界中のマスコミが押しかけてくる。世界中の科学者から宇宙人マニア、どうみても素人の小説家までも各地で騒ぎ出す始末である。  しかし、フィラフステ星日本海溝遠征基地の長の手腕が素晴らしく、会見については海外報道を主とする公益社団法人を介して行うコトとした。日本国には、フィラフステ星人から日本海溝周辺のレアメタルの位置が提示されたというゴシップ誌の報道もあったが、それは定かではない。  他の国々は「日本国内だけの事象」であり、公益社団法人が中に入ったコトから無茶は出来なくなった。もっとも「フィラフステ星人は圧倒的な科学力がある」という話が前提にあり、脅威になっているのは間違いない。まあ、実際はフィラフステ星に兵器なぞありはしないが。  アニメ業界に棲んでいたフィラフステ星人に「学歴等の詐称があった」という点と彼らの資産、現在の社会保障という部分についてどうするかの議論も発生した。  学歴詐称という部分ではアニメ業界のルーズさから、あまり問題にならなかった。言えば上場企業の取締役、プロデューサーについては問題となったが、日本政府からの要請で不問になったケースのほうが多かった。  資産という点においては、フィラフステ星人達の資産は地球人に擬態して行った、肉体労働から発したものであり。偽装紙幣などによる日本への資産影響は一切無かった。アニメ業界からそれなりの金銭を得るまでは、日雇の肉体労働等と母星からの食糧品の仕送りで耐えていたのである。今泉成人が声優学校に通いながら、交通量調査のアルバイトをしていたのもその為であった。世界中が涙した。社会保障は日本人同等となる見込みだ。
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