逆襲

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逆襲

 間島がボタンから手を離すと皆が地球人の姿に戻った。  「あなたたちはペカルティア星人だったんですね。」  田沼が北村社長に言う。ポリゴノドンのスタッフ8人程がすこしスネた顔で打ち合わせブースを囲んでいた。  「40年前に『帰宅後のステマ・まじか』の宇宙放送の電波を捉えたのはあなたたちだけでは無かった。我々ペカルティア星人もあれを見て、苦労してポリゴノドンを作りました。」  北村社長がしんみりと話す。友好的なペカルティア星人は田沼と間島に手を出すような宇宙人ではなかった。  「我々も必死で手書きの作画を勉強しましたが、作画監督まで上がれる者はいませんでした。しかし、最近は日本のアニメーションも3DCG作品が多くなり、これならばと3DCGにシフトしました。我々ならば地球の数倍の速さで処理できますし。」  机上のPCの中身はペカルティア星の機器が詰め込まれているのだろうと間島は思った。田沼は北村社長が「作画監督まで上がれる者は」と言った時のポリゴノドンのスタッフ達の悔しそうな顔を見逃さなかった。  「公開会見の時に、私たちの擬態をといたのも貴方たちだったのですね。」  田沼が聞く。  「40年前のアニメの電波を宇宙人が、という設定を聞いた時に、まさか?という疑念を持ちました。そして、間島さんがここに来られた時に擬態信号を傍受してしまったのです。」  「俺が、ああ、確かに企画発表の後にも3DCGデータのお願いに来ましたが。」  「それで、何故かこう、変な気持ちになったのです。映画館に擬態をキャンセルする機械を持ち込んでしまい、ウチの『メタモルフォーゼ1818』と真逆の評価を目の当たりにして、そして。」  「地球人で言う、やっかむ、とか、ねたむ、と言う気持ちだそうです。」  間島が箱田に聞いた話をする。フィラフステ星人もペカルティア星人も知らなかった感情。
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